美術・宝物
歴史が息づく
貴重な文化財
月照寺には、松江藩主ゆかりの品々や、
江戸時代の名工たちが手掛けた美術品が大切に受け継がれています。
これらの文化財に触れることで、
当時の人々の信仰や美意識、
そして時代の息吹を感じることができます。

絹本着色獅子、文殊菩薩像
獅子を従える文殊菩薩を描いた絹本の掛軸。
文殊菩薩は智慧を象徴する仏として広く信仰され、勇猛な獅子に乗る姿は、知恵があらゆる障害を乗り越える力を持つことを示しています。
繊細な筆致と色彩の美しさが際立つこの作品は、当時の画家の卓越した技量を伝えています。

涅槃図
釈迦が入滅する情景を描いた仏教絵画。
弟子や信者、動物たちが釈迦の周囲に集い、深い悲しみと敬意の念を捧げる様子が描かれています。
本図は構図のバランスや色彩の美しさに優れ、画面全体から荘厳な雰囲気が漂います。
描かれる人物や動物の表情、衣装の細部に至るまで、当時の画工の高度な技術と仏教への信仰心が感じられる貴重な一幅です。



十六羅漢図
松江藩漆御用絵師・狩野水雲による十六羅漢図。
十六羅漢とは、釈迦の教えを未来へと伝える役割を担った仏弟子たちで、それぞれ異なる表情や姿で描かれています。
本図では、一画面に一人ずつ羅漢を配し、額装された十六面が揃う形式を取っています。
特徴的なのは背景が金地で統一され、羅漢とその眷属、腰かける岩のみが描かれている点です。
この手法は、狩野水雲の師・狩野安信の作品にも見られ、当時の南朱の画家・金大受の羅漢図を参考にしたものと考えられます。

雷電為右衛門の手形
江戸時代に活躍した伝説の力士・雷電為右衛門が残した手形の掛け軸です。
松江藩お抱え力士としても知られ、身長197cm、体重174kgという恵まれた体格から繰り出される圧倒的な強さは「史上最強の力士」と称されました。
この手形はその大きさと迫力を今に伝えるもので、雷電の存在感を肌で感じられる貴重な資料です。

松平不昧肖像画
松江藩七代藩主・松平治郷(不昧公)の肖像画。
茶人としても名高い不昧公は、茶道文化の発展に大きく寄与し、現在でも「不昧流」としてその影響が残っています。
この肖像画は、不昧公の威厳ある姿とともに、彼が大切にしていた茶道の精神を今に伝える貴重な作品です。